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■西川和久の不定期コラム■ 「Windows Vistaを好きになれない理由」 前回、Windows Vista RTMファーストインプレッションの記事を掲載した。文末に(つづく)とあったのは、実は本音で書き出すと趣旨から外れてしまう内容になるため、抑えながら書いていたのだ。 今回はその抑えてた部分を一気に書く。市場としてはこれから盛り上がると言うのに、水を差すのは申しわけないと思うが、筆者一個人の意見として読んで頂ければと思う。 Text by Kazuhisa Nishikawa ●好きになれない理由その1『快適に使うには最強ゲームマシン並のスペックをOSが要求する』 前回、いまどきのマシンとして使ったのは、エプソンダイレクトの「Endeavor Pro4000」。確かにWindows Vistaは快適に使えたものの、CPU:Core 2 Duo E6600(2.40GHz) 、HDD:400GB/SATA II/7,200rpm、メモリ:2GB(1GB×2) PC2-5300 デュアルチャネル DDR2 SDRAM 、ビデオ:ATI Radeon X1950 XTX 512MB (PCI Express x16) と、かなりハイスペックなマシンだ。これだけ贅沢してエクスペリエンス インデックスのスコアは5.3。ゲーマー御用達仕様とも言えそうなマシンである。 筆者の経験上(個人差はあると思うが)、Windows XPでは、Webブラウザやメールなどネット関連、Office、写真、動画再生程度であれば、CPUは1GHz、メモリは512MB程度、i810やi815などチップセット内蔵型ビデオを搭載したPCで十分普通に使えた。これ以上のスペックが必要となるのは、ビデオ編集やエンコード、1,000万画素越えの画像のレタッチ、600万画素以上のRAWデータ現像、ゲーム、VMwareなどの仮想PCやソフトウェア開発と、あくまでもアプリケーション依存だ。これらを快適に使えるようにリソースに投資するのは何とも思わないが、OSがユーザーの利用方法を越えたリソースを要求するのは理解に苦しむ。本末転倒であり、目的と手段が理にかなっていない。 また強力なビデオは必ずと言って良いほど冷却用にファンが付いている。山田祥平氏のRe:config.sysにもあったように、ファンレスで探すと現状では、Windows Aeroに対応した製品を探すのは難しい。従って半透明やフリップ3Dなどを表示するだけで静音PCは厳しくなる。ゲームをやるなら諦めも付くが、ゲームは無縁にも関わらずだ。Windows VistaによってPCゲームのレベルが底上げされて喜ばしい的なコラムを見かけたが、ビジネス用途にはコストが上がり迷惑な話だ。 Windows Aero特徴的なウィンドウ枠が半透明になるスタイル フリップ3D三次元的に起動中のアプリケーションが重なり、選択することでスイッチングできる 巨大なファン現時点では強力なグラフィックエンジンには巨大な冷却ファンが付いている ●好きになれない理由その2『中途半端なハリボテ度』 Windows Vistaの最大の特徴は大きく変更されたユーザーインターフェイス(UI)だ。これ自体はユーザービリティの向上に直結するので反論するつもりは無い。ただその作り込みが中途半端。 例えば、一番表に出ている一階層目の画面などはほぼ全て変更されているものの、それ以降のパネルやメニューはWindows 9x(Windows 3.x?)時代のものがまだ多く残っている。せっかく一新するのであれば根こそぎ変えないと操作中に違和感をおぼえる。また、Explorerではアイコンのサイズがスケーラブルに変更可能であるが、コントロールパネルなど、Explorerに無関係な部分は相変わらずの固定アイコン。一般ユーザーにはこの区別は付き難く混乱を招く。基本的にアプリケーション依存になるが、せめて標準搭載のアプリケーションは全て対応すべきではないだろうか。 また、電卓など標準アプリケーションに入っているのも昔のまま。AppleのCMでクールなアプリケーション(笑)として挙げられているのをご存知の方も多いと思う。過去との互換性もあるので(別のアプリケーションから起動している可能性がある)変更が難しいのかも知れないが、どうせ変えるならとことんWindows Vista風にして欲しかった。 デザイン変更このパネル自体は3.xの頃から変わっていない。色やフォントをドラッグ&ドロップできても良さそうだ 固定アイコンと可変アイコン手前のコントロールパネルのアイコンサイズは固定。奥のExplorerでは可変と、統一感が無い 電卓これも3.x以前から存在する標準アプリケーション。何1つ仕様は変わっていない ●好きになれない理由その3『意味不明のエディション』 Windows Vistaには5種類のエディションが存在している。Enterprise Editionは、ボリュームライセンスのみなので、実質は4つとなるが、これらの内容や価格の違いを明確に説明できる人は業界関係者でも少ないだろう。もともと筆者はWindows XPの時にHomeとProfessionalに分けること自体不満であったが(Media Center EditionとTablet PC Editionは後付なので仕方ないとしても)、またか! という感じだ。 Windows Vista Home Basic Edition Windows Vista Home Premium Edition Windows Vista Business Edition Windows Vista Enterprise Edition Windows Vista Ultimate Edition 誰の眼から見てもユーザーのために分類したのでは無く、あくまでも同社の都合=利益からの面で多数のエディションを作ったのは明らかだ。内容を見ても、物凄く革新的な機能で分けているならともかく、細かい機能の切り売り。しかも利用者側から見ると、Home用途ならファイル単位の暗号化やモビリティは不要とされ、Business用途ならMedia Centerが不要とされるなど、その機能の有無が矛盾だらけだ。 更にエディションが違えば、メニューなどが変わり、サポートや教育、家や職場、学校での微妙な違いが発生し混乱を招く。そのコストはいったい誰が持つのだろうか。 ●好きになれない理由その4『Mac OS Xと比較して何1つ新しいものが無い』 Windows 3.0以来Windows XPまではいち早くβ版をPCへインストールしていた筆者であるが、Windows Vistaに関してはごく最近まで試さなかった。理由は、徐々に内容や画面キャプチャが載るにつれ、その機能のほぼ全てがMac OS Xにはすでに搭載済みだったからだ。裏側にあるロジックまでは解らないが、少なくとも画面上から見えるものは、もう1年半以上前にTigerで体感したものばかり。真似してこうなったのか、時代の要求からこうなったのか、は定かではないものの、これでは興味が無くなってしまうのも当たり前である。 しかも去年(2006年)、Intel版Macが登場し、パフォーマンスを落とさずにWindows XPとMac OS Xとの行き来が可能になった今、それ以上の夢を見せてもらえないとWindows Vistaを触ってみたいという気分にならない。 DashboardMac OS XのDashboard。不要な時は隠れているので邪魔にならず、キー操作もしくはマウスを使い一発で呼び出せ、Desktopへオーバーラップする Windowsサイドバー名前の通り、Desktopのサイドに表示される。場所は移動できるものの、画面全体にオーバーラップはしない ヒラギノフォントかなり前のバージョンからMac OSに搭載されている。個人的にはメイリオフォントより見やすいと思う 前回の記事を掲載後、これらの件についてブログでいろいろな意見を頂いた。いつもWindowsのバージョンアップ時には同じ事が発生するとの意見もあった。確かにその昔はET4000などアクセラレータを搭載しないグラフィックエンジンではWindowsの描画が遅く、S3などアクセラレータを搭載したグラフィックエンジンが爆発的に流行った。また、64MB、128MB、256MB……と倍倍ゲームで必要なメモリが増えていったのも間違いない。ただ、その頃と今とでは全く事情が違う。冒頭に書いたように、すでに普通のアプリケーションを動かすと言う意味では、十分なCPUパワーとメモリ空間を多くのPCが備えている。しかし、それ以上のスペックをOSが要求し、仮に満たしたとしてもご覧の程度の差しか無い。リソースへの投資が割に合わないと思われても仕方のない状態なのだ。 ●総論 以上、Windows Vistaを好きになれない理由を挙げてみた。Longhornと呼ばれていた頃から、いろいろな機能が欠け、骨抜きになり、長い年月をかけ開発され、やっと出てきたのがこの程度……。ならば大人しくしていれば文句も出ないが、既存のアプリケーション以上にハイスペックなマシンを要求し、市場を混乱させる意味の無いエディションなど、OSをほぼ独占している同社の思惑通りユーザーやメーカーがコントロールされているのがどうにも気に入らない。 ただ、すでにこのような事を考えながらPCを触る人はごく少数派になったということなのだろう。そんなことを2007年正月に思いながらこの原稿を書いていた。 □Windows Vistaのホームページ http://www.microsoft.com/japan/windowsvista/ □関連記事 【2006年12月19日】【西川】Windows Vista RTMを使ってみました! http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2006/1219/nishikawa.htm 【2006年12月22日】【山田】年越しVistaのまあだだよ http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2006/1222/config139.htm Impress Watch Windows Vista特集サイト http://www.watch.impress.co.jp/headline/vista/ □バックナンバー (2007年1月5日) [Text by 西川和久]
[] 西川和久の不定期コラム
[引用サイト] http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2007/0105/nishikawa.htm
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Last Updated 2007/ 03/ 05/ 14時07分31秒
二週目は部分的にパーツを入れ替えたマシンへWindows Vistaをインストールし、若干の環境設定を行なった。今回は作業環境を作り込み、アプリケーションの互換性や実際仕事をした時の使用感などを書いてみたい。 既にいろいろなインストールレポートなどがあがっているので、できるだけ重複しないよう書こうと思っているが、もし部分的に同じ内容があった場合はご容赦頂きたい。 筆者の仕事環境は割りと保守的で必要に迫られない限り、バージョンアップなどは行なわず、古いものをそのまま使い続けている。もともとのマシンが2002年に組んだものなので、多くは当時のまま。主に使っているアプリケーションをリストアップしてみると、とんでもなく古いものばかりだ。ここまで古いとVistaで動かないと文句を言っても、言われるマイクロソフト側も迷惑だろう。 カテゴリを大雑把に分類すると、ネット関係、原稿、写真、オフィス、開発環境、遊び、その他……この7つになる。この中の開発環境だけは2006年から使い出したもので、他のアプリケーションと比較すると新しいものばかりだ。Vistaで動かした結果を△と×で書くと(△は一部問題あり、×は動かない。併用するハードウェアも一緒に記述)ご覧のような結果となった。 Internet Explorer 7は単独で使わず、IE TabというFirefoxのアドオンでレンダリングエンジンとしてのみ使っている。またPhotoshopやOfficeは、かなり古いバージョンであるが、Photoshopに関してはこれ以降のバージョンは不要な機能ばかりが増え重たくなる一方。Officeは大したことをしていないのでこれで十分という理由からバージョンアップせずに使い続けている。PowerDVD 5.0、WinCDR 7.x、ラベル屋さん21、この3つも古い。PowerDVD 5.0とWinCDR 7.xに関してはOffice同様、必要性が無いから。ラベル屋さん21は名刺用に作ったデータが最新版にコンバートできないので仕方なくと言った感じだ。 何事もなく動くVMware ServerゲストOS起動時に少し時間がかかるものの、一旦起動してしまえばXPで使っていた頃とパフォーマンス的にも変わらない インストールが完了しないJXplorer何故かこの部分で何時も止まってしまいインストールが終わらない。必須というわけでも無いので、他のXPマシンで動かしている ご覧のように意外と古いものも動く。VMware Serverなどインストール時に互換性の問題があると表示されたが、パフォーマンスもXPと変わらず使えている。DVDプレーヤーに関しては、VLC media Playerで見ればAeroがONのままでOK。PowerDVDも実際見る時はフルスクリーンなので特に問題無い。iTunesはiPodとの連携で問題が出ているようだが、筆者の場合は単にMP3プレーヤーとして使っているだけなので大丈夫だ。 筆者にとって1番致命的だったのはCD-Rの書き込みだった。もともと古いのでNGなのは仕方ないとして、Vistaの機能でCD-Rに書き込もうとしたところ、1台目のドライブ(RW9200)は書き込む直前になるとメディアを認識しない、もう1台(DVR-108/USB接続)は、遅過ぎて使い物にならなかった。ドライブ自体も古いのでそれが原因かも知れないが、急ぎということもあり、ネットワーク経由でiMacのドライブを使いMac OS Xから書き込んだ。いずれにしてもISOイメージなどを焼く必要もあるので、何らかのソフトウェアを購入しなければならないだろう。 実のところ現在筆者のメインマシンはIntel版iMacになっている。今回パワーアップしたマシンはここ1年程Photoshop専用機+α程度の扱いだったのだが、今回Vista化したこともありできるだけ1日中このマシンの前に座り作業していた。先に書いたように、ネットはもちろん、事務処理あり、開発あり、写真ありと、使うソフトウェア自体は少ないものの、ある程度多様な使い方だと思われる。 Vistaに変わってまず使わなくなったものとして、ThumbsPlusがあげられる。当時は非常に高速で便利だったが、Vista標準のWindows フォトギャラリーの方が使い易く速度的にも速い。多くのライターがWindows フォトギャラリーをVistaのメリットとして書いているがこれは間違いないだろう。他は特に何かに置き換わること無く、そのまま使い続けている。 使わなくなったThumbsPlus一旦サムネイルデータを作ってしまえば速いのだが、そのサムネイルデータを作るのが意外と時間がかかる。100%表示も遅い Windows フォトギャラリーサムネイルはキャッシュされるので二回目以降はそれほど遅くなく、100%表示もスッとひらく。トータル的なバランスを考えるとThumbsPlusより使い易く速い この20日間、ハードウェア的な追加としてRIMMのメモリを購入した。当初予算から512MB×2の予定だったが、1GBセットが同時に数セット分あったため、思わず2セット入札。最近1GBのメモリが安く、かなり割高ではあるものの、RIMMの512MBとしては比較的安価だった。しばらく1GBでVistaを動かし、その後2GBで使った感想としては「あまり変わらない。少し速くなったかも」ということだ。仕掛け的にメモリが多くあるとよく使われるDLLなどを先にメモリへロードするらしく、その分、起動時のフリーメモリは1GBの時より減っているものの、アプリケーションを立ち上げてもあまりメモリが減らない。常時800MB程が使われ、データ処理としてメモリを要求するとその分が減るといった感じだ。VMware ServerのゲストOSへ512MB割り振っても使用量は1.2GB程度から変化しない。 ForceWare 100.65先日新しいドライバが出たのでインストールした。グラフィック関連のスコアが落ちたものの設定を変更したところ同じになった またVistaがその理由ではないのだが、非常に安定して動いている。XPで5年程度使い続けるとHDDやレジストリにゴミが溜まり徐々にシステムが不安定になって行く。このマシン固有の現象としては、たまにブルーバックになったり、急に再起動かかったり……いろいろな不都合があった。しかし、Vistaをインストールしてからこれらの現象はパタッと止まっている。引越しではないが、たまにはOSをクリーンインストールしゴミ掃除を行なった方が良いという例だろう。HDD自体を今時のものへ変更したので相対的な速度はXPより上がっている。 もう1週書く予定だったが、既にいろいろなインストールレポートも載っているので一旦これで終わりとしたい。Windows Vistaの感想は「当初思っていた程悪くない、意外といける」ということだ。自宅のノートPCはまだXPであるが、帰って画面に向かうと古臭い感じがする。ある意味Vistaに毒されている状態だ。と言って、あわててVistaにしなければならない何かがあるか? と考えると答えはNO。場合によってはハードウェアはもちろん、ソフトウェアもアップグレードもしくは買い直しが必要になり、結構なコストがかかる。現状XPで何の不満も無く、遊んだり仕事が出来ているのであれば、そのまま使い続けるのがベストだろう。 当たり前の結論になってしまったものの、この連載を通して1つだけ良い点があったとすれば、筆者のVista嫌いが無くなったこと。自分自身、予想しなかった結果である。(完)
[] 西川和久の不定期コラム
[引用サイト] http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2007/0226/nishikawa.htm
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Last Updated 2007/ 03/ 05/ 14時07分31秒
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